TSR独自のスペシャルインタビュー
チームにおけるスタッフの役割について
語って頂きました
長谷部選手が感じる「チームスポーツの魅力」は、どんなところですか?
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長谷部:
勝利という目標に向け、それぞれ立場は違いますが、情熱を持ってみんなでチャレンジするところです。全員で喜怒哀楽を共有し、人生に彩りを与えてくれる点は、とても魅力的で、やり甲斐のあることだと思います。
長谷部選手が感じる「強いチーム」は、どんなチームでしょうか?
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長谷部:
メンバー間の競争があり、多様性を前提にお互いの考えを主張し合い、個人よりも組織のためのことを考えられる人材が集まるチーム。そしてそこにリーダーとなる人間がいることです。
これまでの経験の中で、「この時のチームは良かった!」と思えたのはどのチームですか?
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長谷部:
良い結果が出ているチームは良く見えます。しかし、チームの本質が見えるのは上手くいっていない時だと思うので、「逆境に強かったチーム」は印象に残っていますね。
キャプテン(副キャプテン)として、日本代表チームやアイントラハト・フランクフルトを率いて来ましたが、一番苦労したのはどんなことでしたか?
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長谷部:
キャプテンの役割というものは、それぞれのチームの特性で形を変えていくものだと思っているので、キャプテンの理想像はありません。あまり苦労した記憶はありませんが、海外のチームではそれぞれのメンバーが持つ文化や言語が異なるため、自分が当たり前と考えていることが彼らにとって当たり前ではないため、最初は少し戸惑いました。
チームスタッフ(監督・コーチ・トレーナー・チームマネージャー・チームフロント)などへの率直な想いを教えてください。
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長谷部:
サッカーに限らず、同じ目的をもった組織の中では全員が重要であり、一個人が組織より尊重されることはありません。トレーナーやチームマネージャーがいるからこそ私たちが気持ち良くプレーできると考えています。普段はあまりクローズアップされませんが、彼らがいなければチームは成り立ちません。チームにとって彼らは選手と同様にとても重要な存在だと思っています。
チームスタッフと信頼関係を築くため、どんなことを心がけていますか?
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長谷部:
つねにリスペクトの気持ちを持って接しています。たまには冗談も言いますが、よくコミュニケーションを取るようにしていますね。
チームスタッフに求めるのはどのような資質ですか?人柄や姿勢、必要な能力などあれば教えてください。
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長谷部:
それぞれのパーソナリティを生かしてもらえれば、それで良いと思います。イエスマンになる必要はないし、その組織の中で、自分に何ができるかを考えて行動すれば、それは必ずチームの助けとなると思います。
これまでの選手生活の中で、感謝しているチームスタッフがいれば教えてください。
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長谷部:
浦和レッズに入団して以来、今でも帰国すると必ずお世話になっているトレーナーさんがいます。彼は、プロとしてやっていくための身体を共に作り上げてくれたことはもちろん、治療中のさまざまな会話を通じ、一人の人間としても私を成長させてくれました。そしてアイントラハト・フランクフルトに偶然同じタイミングで入団した日本人のトレーナーさんにも非常に感謝しています。彼がいなかったら、こんなに長い期間、インテンシティの高いブンデスリーガでプレーできていないと思います。
最後に、アスリートとして目指す姿はどのようなものですか?
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長谷部:
アスリートである前に一人の人間として常に成長を続けていきたいと思います。周りの方々に支えられて今もサッカーをプレーすることができているので、これからも周りの方々に感謝しながら、自分には厳しく、周りには優しく生きていきたいと考えています。
ありがとうございました。
Profile
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Eintracht Frankfurt
(アイントラハト・フランクフルト) - ドイツ・ヘッセン州フランクフルトに本拠地を置く総合スポーツクラブ。サッカー部門のTOPチームはブンデスリーガ1部に所属しているヨーロッパでも強豪チームで、2021-22シーズンはリーグ戦の他にUEFAヨーロッパリーグを戦う。滋慶学園(TSR・TMS)とは2014年より教育提携を結んでいる
- 長谷部 誠
- アイントラハト・フランクフルト所属のプロサッカー選手。元日本代表キャプテン。2014-15シーズンからアイントラハト・フランクフルトに加入し、今シーズンで8シーズン目を戦う。チームでは副キャプテンも務め、ブンデスリーガにおけるアジア人最多出場記録を更新し続けるなど、38歳にして高いレベルでプレーを続けている。
チームスタッフへの想いを聞かせてください。
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富樫:
スタッフ全員、チームの勝利を目指して一年間全力で役割を果たしています。彼らの専門的な知識はもちろん、毎日の練習など長い時間を一緒に過ごすことで培われた信頼関係に助けられていますね。
原:体についての知識や怪我をした時のケアの方法などは、自分よりトレーナーの方が詳しく、意見交換を重ねることで信頼関係ができました。彼らがいなかったら優勝はなかったと思います。
富樫さんが、スタッフとの信頼関係を重視するのはなぜですか?
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富樫:
どんなに豊富な知識を持っていても、信頼関係のないスタッフから言われたことは聞き入れられません。だからこそ、技術以上に信頼関係が大切だと感じています。
スタッフとはどのように信頼関係を築いていますか?
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富樫:
思ったことをすぐに口に出す性格なので、トレーナーとは何度かぶつかりました。自分の考えを言わずに我慢するのは性に合わないし、お互いの考えを伝えることで信頼関係ができたと思います。
原:一人の選手としてチームを強くしたいという思いで、スタッフと会話を重ねるうちに関係が深まっていきました。勝利を目指すという同じ軸があるから、信頼し合えるのだと思います。
今のスタッフの素晴らしいところは?
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富樫:
コンディション作りや疲労への対応など、各選手の様々なニーズにベストを尽くして対応してくれることです。
原:練習の合間に取材を受ける場合など、効率的にできるよう配慮してくれるので、なるべく協力しようと思います。お互い尊重しあう関係が大切ですね。
これまでの選手生活で一番感謝している人は誰ですか?
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富樫:
どのチームでも監督、チームメイト、スタッフに恵まれてきたので、一人には決められないですね。多くの人の支えでプロ生活が続けられていると感謝しています。
原:大学で二年生先輩のMさんです。大学時代のチームで出会いました。練習に本当に真剣に取り組む方で、「自分もプロを目指して頑張ろう」と決意するきっかけになった先輩です。
今後、どんなプレーヤーでありたいですか。
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富樫:
歳を重ねるごとにプレースタイルは変わっていきますが、体力が続く限り、わがままにやっていきたいです。
原選手からみて富樫選手は、わがままですか?
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原:
自分では「わがまま」と言っていますが、ご飯を食べに行くお店の予約するのが好きとか(笑)、実は面倒見のいい一面もあります。
原選手はどんな選手でありたいですか?
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原:
ガツガツと体を使って攻めていく選手でいたいですね。Bリーグにはあまりいないタイプの選手だと思うので、相手チームから「あいつなんか嫌だな」と思われる選手になりたいです。
富樫:原選手は1年目から、体つきも変わりプレーもどんどん幅が広がっています。ディフェンスオフェンス含め「相手チームから嫌がられる選手」という存在になっていると思います。
ありがとうございました。
GMになったきっかけは?
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池内:
テレビ局で報道の仕事をしていた時、東日本大震災が起き、自分の無力さに気づき、もっと地域に貢献できる仕事がしたいという気持ちが芽生えました。そして26歳の時、出身地の西宮ストークスというクラブと縁があり、この世界に飛び込みました。
GMとしてチームスタッフとしてはどんな人材が必要だと考えますか?
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池内:
重視するのはコミュニケーション能力や責任感ですね。専門職なので技能も大切ですが、それをインプット・アウトプットできる能力が重要です。職人的にならず、チームがどうすれば強くなるのか、主体性と協調性をもって考えられる人が理想です。アメリカなどのチームに比べると、スタッフの充実という面で日本は遅れているし、考え方もアマチュア的なところがあります。チームスタッフにもしっかり投資して、環境整備をしていこうと考えています。
スタッフとの信頼関係の築き方は?
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池内:
こちらが信頼しなければ、相手も私を信頼してくれないので、まず相手のことを信頼することですね。権限を与え、その中でしっかり責任を持ってやってもらえるよう常々伝えて彼らのモチベーションを上げてもらっています。業務の中で最高のパフォーマンスが発揮できるように働きがけしています。
そういったことはどう学んできたのですか?
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池内:
私が今このような立場にいるのは、自分自身で勉強した部分もありますが、社会人になって出会ってきた諸先輩方に同じように指導いただき、成長できた部分が大きかったからだと思います。私もそういう環境の中で能力は発揮できることを経験したので、同じように今は彼らにも接しています。
今後の目標を教えてください。
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池内:
千葉ジェッツが、みなさんの中で当たり前の存在になることです。海外のチームを見ると、地元のチームが人々の生活の一部になっているんです。当たり前のようにチケットを買い、試合を観に行き、熱狂して、泣いて笑って喜怒哀楽を出す。それが一週間のルーティンになっている。そういう形を目標にしています。そのためにはもっともっと地域の皆様の心を動かすようなチームになる必要がある。たとえ負けても「今日はいい試合だったね。楽しかったね」とお客さんが満足して帰ってくれるようになればいいですね。
ありがとうございました。
Profile
- 富樫 勇樹 選手
- 身長1m67cmと小柄ながら千葉ジェッツで活躍し、2019年、日本選手として初の年俸1億円を超えるバスケットボールプレイヤーとなった。
- 原 修太 選手
- 船橋市出身。国士舘大学4年生の時から千葉ジェッツふなばしに加入。2020-21シーズン、悲願のBリーグ初優勝を成し遂げた。
- 池内 勇太 ゼネラルマネージャー
- 兵庫県出身。早稲田大学卒業後、テレビ局勤務を経て、西宮ストークスGMに就任。2019年より千葉ジェッツGMとして、地元に愛されるチームを目指す。